生誕150年 横山大観展を観て
明治26年から昭和30年、84歳の時の作品まで全92点が一同に集結したの は正に圧巻でした。 茨城県に在住の一人として、岡倉天心が率いた日本美術院の五浦海岸での 活動には以前から興味があり映画も見ていました。 絵が売れず極貧生活の中で苦闘し早逝した菱田春草を中心に描かれていた ことを記憶しています。
なので、今回この様な機会を提供して頂いた絵画鑑賞同好会の世話人の方 及び290頁にも及ぶ大観の画集を戴く幸運を与えて下さった当日ご参加の 皆様に心より御礼申し上げます。 普段ジャンケンに弱い私が何故勝ち残ったのか今でも不思議です。
まずビックリした絵として、金屏風に描かれた「ナイヤガラの滝」と 「万里の長城」、ハレー彗星を掛け軸に描いた「彗星」はまさに奇想天外 でした。 印象深かったのは、見えない風と枯れ葉の葉音のする「山路」やローマ 日本美術展に出品された「夜桜」の美しさでしょうか。
しかし、やはり一番は富士の絵で、当時の時代背景や 戦闘機や 爆撃機に 付けられた「大観号」などのことを思うと複雑な気持ちにもなりますが、 宮内庁に献上された「朝陽霊峯」や、また晩年の「霊峰飛鶴」の絵が心に 残りました。
ただ帰り道でも思ったのですが、日頃カラオケの世界で演歌や歌謡曲の 中にどっぷり浸かっている私としては、大観は着想といいスケールといい いささか大きすぎて、その点 常設の展示室にあった川合玉堂の「行く春」 の方が暮らしの息づかいを感じ親近感を持ったのが正直なところでした。
なにはともあれ、この度の幸運に感謝し 貴同好会の益々の発展を祈念して 感想文に替えさせて頂きます。 浜口 重太
|